熊本地震関連のニュースからピックアップ -2016年5月-

熊本地震関連ニュースピックアップは、熊本日日新聞の記事より抜粋しています。

5月2日(月) 熊本地震19日目

■消滅の危機 南阿蘇村立野地区 村外避難
国道57号線が途切れ、阿蘇大橋も崩落した南阿蘇村立野地区が、消滅の危機に直面している。熊本地震による家屋倒壊に加え、土砂崩れの危険は解消されないまま。住民は村の他地区と分断され、大津町など村外へ避難。
余震で山が崩れる可能性があるとして、村は立野地区のほぼ全域に当たる347世帯に避難勧告。地震発生後、住民は旧立野小に避難したが、雨が降って危険に。21日以降、ホンダ熊本製作所など大津町での再避難が続いている。
2012年7月の九州北部豪雨による土砂災害を乗り越え、再出発した住民を今度は地震が襲った。「愛着はあるが、みんな限界だ」、今回の被災現場は豪雨を経験した住民ですら「想像できなかった」と口をそろえる規模だった。火山灰土壌の崩れやすい地盤とはいえ、阿蘇大橋が壊れたのは大きな衝撃だったという。国道と橋は復旧の見通しがつかないまま。

■農林水産被害 1000億円超 県内災害で過去最大
県は1日、熊本地震による農林水産関係の被害額が1022億200万円に上ったと発表した。県内の災害被害では、800億4300万を記録した1999年の台風18号災害を上回り、過去最大。

5月3日(火) 熊本地震20日目

■「拠点避難所」18カ所 学校以外、公民館など
熊本市は2日、連休明けの小中学校の授業再開を前に、公民館やスポーツセンターなど学校以外の18カ所を「拠点避難所」にすることを明らかにした。間仕切りしてプライバシーを確保、畳を敷くなど避難所生活の環境を改善し、避難者の移動を促す。同日から、移転希望先などを聞く意向調査を始めた。
市は、避難者を対象に実施した意向調査(4月23~25日)から住宅の倒壊などで帰宅が困難な人を約3千人と推計。拠点避難所として、中央区の勤労者福祉センターや東区の秋津、託麻両公民館など18施設を選んだ。今週中に受け入れを開始した多くの施設で空調が完備され、洗濯機や冷蔵庫も設置予定。警備員や担当職員を配置し、職員による相談窓口を設ける。

■義援金57億3千万円 4月末時点 県、日赤、共同募金
県と日本赤十字社、中央共同募金は2日、熊本地震の被災者支援で国内外から寄せられた義援金が、4月30日の集計時点で57億2966万になったと公表した。日赤県支部によると、今後も増える見通し。
内訳は、▽県24億8471万円 ▽日赤30億9382万円 ▽共同募金1億5113万円。県分だけで約4万の個人・団体が寄付している。

■九州6県 キャンセル53万泊 外国人客、修学旅行減少
熊本地震の影響で、九州各県の宿泊施設が計52万泊を超える予約をキャンセルされたことが2日、分かった。
熊本、大分両県でそれぞれ約15万泊と多く、被害が少ない他県も外国人や修学旅行などの取り消しが広がっている。書き入れ時のゴールデンウィークが直撃され、訪日客の増加で好調だった九州の観光業界に大きな痛手となった。

5月5日(木) 熊本地震22日目

■高齢者施設 11ヵ所利用できず
熊本地震の影響で県内の高齢者施設の約4割が損傷し、10ヵ所が入居ができないほどの深刻な被害を受けた。
県によると、避難勧告が出ている南阿蘇村の1ヵ所を含め11ヵ所が利用できず、約390人が県内外の別施設に移った。受け入れ先が未定の人もいるほか、環境の変化による症状悪化なども懸念され、安心できる受け皿づくりが急務の状況だ。

■被災家屋 片付け本格化
大型連休後半を迎え、宇城市では熊本地震で被害を受けた家屋の片付け作業が災害ボランティアによって本格化している。
大空が広がった4日、県内外から集まったボランティアが住宅約40戸を対象に家具や食器の片付け、がれきの撤去などに汗を流した。同市社会福祉協議会によると、前日は風雨が強かったため募集を40人で打ち切ったが、4日は約260人を受け付けた。

■熊本市動植物園「復旧に1年以上」
大型連休中の快晴となった4日、本来なら子どもたちでひしめき合っているはずの園内は、人けのない異様な光景だ。大西一史熊本市長は同日、「1年くらいで再開できる状況ではない」と、復旧の見通しに言及した。
園内の通路はあちこちで陥没し給排水ができない。チンパンジー舎では、飼育員が毎日200㍑以上の水をポリタンクで運び入れ、清掃や飲み水確保に追われている。遊園地ゾーンでは、子ども列車のミニSLが駅舎ごと崩落。モノレールなど多くの遊具も修理が必要となっており、岡崎伸一園長(57)は「まだ被害の全容すらわからない」と話している。

■ストレス 子供異変相談増
相次ぐ揺れや避難所生活によるストレスで精神的に不安定になっている子どもたちの実態を把握するため、熊本市は4日までに、市立の幼稚園や小中学校、高校などの児童生徒、約6万人を対象に調査することを決めた。

■こいのぼり3500匹「がんばれ熊本」
「がんばろう熊本」。小国町の杖立温泉で、3500匹の色鮮やかなこいのぼりが元気よく泳いでいる。
杖立温泉観光協会は、熊本地震の被災者を励まし、楽しんでもらおうと、8日までの予定だったこいのぼりの飾り付けを31日まで延長することを決めた。観光協会によると、同温泉は熊本地震で水道施設が被害を受け、休業や、素泊まりのみの営業を余儀なくされる旅館が続出。現在は復旧し、ほぼ通常営業しているという。
こどもの日を控えた4日、温泉街は家族連れが訪れ、少しづつにぎわいを取り戻していた。

■くまモン きょう活動再開
熊本地震の被災地支援活動で、県のPRキャラクター「くまモン」のデザインを利用するための県への届け出が4日までの16日間で3390件に上った。くまモンは地震後に活動を自粛していたが、被災者らを激励するため「こどもの日」の5日から3週間ぶりに避難所などへの訪問を始める。
5日は、地震で大きな被害を受けた同県西原村の「にしはら保育園」を訪れ、被災した子どもたちを励ました。

■盗難相次ぐ
被災地を狙った空き巣などの被害が相次いでいる。
熊本県警によると、避難中の留守宅などでの窃盗が未遂を含め36件(3日現在)あり、地震に便乗した不審な電話などに関する相談も30件を超えている。届け出をためらう被災者もあり、実際の被害はさらに多いとみられる。

5月7日(土) 熊本地震24日目

■避難所で集団食中毒か
6日午後3時25分ころ、熊本地震で熊本市が指定避難所にしている同市中央区千葉城町の城東小から「避難所でおう吐している人が10人ほどいる」と119番通報があった。おう吐や下痢などの症状を訴えた計23人が病院に搬送され、少なくとも12人が入院した。
市によると、熊本地震の避難所では初めてとなる集団中毒の可能性があるという。搬送されたのは6~84歳の男性7人、女性16人で、重症者はいない。

■阿蘇立野病院 閉院へ
熊本地震で被災した南阿蘇村立野の救急指定病院、阿蘇立野病院(上村晋一院長)は6日までに、敷地周辺が土砂崩れの危険があるとして閉院を決め、入院患者71人全員を県内9カ所の医療機関に移した。
南阿蘇地域(南阿蘇村、高森町)で唯一の救急、入院を受け入れる病院がなくなるため、同地域の医療体制に重大な影響を及ぼすのは必至だ。

■益城町仮設160戸 建設に着手
県は6日、熊本地震で甚大な被害を受けた益城町で、仮設住宅建設に着手した。
同町の一期分として3ヵ所の町民グラウンドに計160戸を建設。6月中旬の完成を見込む。
同町では、町内の約半数に当たる約5400棟で被害を確認。このうち、全壊または大規模半壊した被災者が仮設住宅の入居対象になる。

■熊本市 市営住宅引き渡し開始
熊本市が地震の被災者に無償で提供する市営住宅250戸の引き渡しが6日、始まった。
市役所で当選者に鍵が渡された。入居期間は最長1年間で、入居予定者からは「生活再建が間に合わない」と不安の声も上がった。

■南阿蘇・立野地区の小中学生 半数以上 村外通学へ
南阿蘇村は6日、熊本地震に伴う阿蘇大橋の崩落で通学先の小中校と分断された立野地区の児童生徒54人のうち半数以上の29人が、大津町など村外に通学先を変更することを明らかにした。小学生に限ると村外への変更は6割に上る。

■阿蘇登山道 進入相次ぐ 通行止め看板無視
熊本地震で損傷がひどく、全面通行止めの阿蘇山上への車の登山道を、強引に突破する地元住民や観光客が後を絶たない。標識をどかして進入しているようで、管理する県は「余震も続いて危険。安全が確認されるまで通らないように」と注意を呼びかけている。

■ノロウイルス 食事から生野菜除外
被災者のノロウイルス感染を防ごうと、南阿蘇村の避難所はメニューから生野菜を外している。
避難者からは「生野菜を食べたい」との声も上がるが、村は「これから気温が上がり、食中毒も心配」と神経をとがらせる。
南阿蘇中体育館で4月20日、下痢やおう吐などを訴えた男性1人からノロウイルスを検出した。当時、村内の避難所13カ所ではボランティアなどが個別に炊き出ししており、村は食事内容を把握していなかった。このため、同日以降は炊き出しの申し出を全て断り、村と自衛隊が決めた食事メニューに統一した。朝はパンとジュース、昼と夜はおにぎりと味噌汁、火を通したハンバーグなどの主菜、副菜。サラダなど生野菜は一切提供していない。

■被災地 空き巣が多発
被災、避難した人の自宅を狙った空き巣が多発している。
県警によると、地震に絡む窃盗などの被害は6日までに、40件届けられており、「不審者を見かけたら、すぐに110番通報を」と呼び掛けている。
熊本南署などが、住居侵入と窃盗の疑いで5日逮捕したのは、熊本市南区島町、無職の男(34)。逮捕容疑は4月27日未明、同市西区の女性宅に侵入し、テレビやブルーレイレコーダーなど計8万円相当を盗んだ疑い。

■被災者に夜間の安心を
熊本地震で被災した益城町の治安を守ろうと、大学生が住宅街や河川敷などの夜間パトロールを続けている。
熊本大学工学部の稲益亘輝(いなます・こうき)(19)さんが町内の不審者情報を聞き、知人らに呼び掛けた。熊本大を中心に熊本学園大や崇城大などから有志25人が集結した。このうち十数人が毎晩2~3時間、「防犯」の腕章を付け、倒壊家屋が多い住宅街や、車中泊の被災者がいる駐車場や河川敷などを巡回。屋外にいる被災者に「こんばんは。大丈夫ですか。」と声をかけながら歩いている。

5月8日(日) 熊本地震25日目

■にぎわい復興の力 熊本市中心街 連休に人波
大型連休も残り1日となった7日、熊本市中心部のアーケード街は、休日を楽しむ多くの家族連れや若者でにぎわった。熊本地震の影響で休業した多くの店も再開し、熊本の顔ともいえる繁華街がにぎわいを取り戻しつつある。

■熊本城 櫓や長塀5ヵ所全壊
熊本地震による熊本城(熊本市中央区)の被害の全容が7日、分かった。
熊本城総合事務所(同区)によると、建造物の全壊部分は北十八間櫓(きたじゅうはちけんやぐら)と東十八間櫓、五間櫓、不開門(あかずのもん)、長塀の5ヵ所(いずれも国重要文化財)。これに他の櫓の損壊や石垣の崩落などを加えると、被害部分は52カ所に上る。

■おう吐、下痢症状31人に 熊本市避難所
熊本市が熊本地震の避難所に指定している中央区の城東小で6日午後、避難者らがおう吐や下痢などの症状を訴えた問題で、市保健所は7日、症状を確認した患者が31人に上ったことを明らかにした。救急搬送されなかった人の調査も続けており、患者数はさらに増える可能性がある。
市保健所は、患者が共通して食べたものが避難所の昼食だけだったことから、「集団中毒の可能性が高い」との見方を示した。患者の便やおう吐物、昼食の残りを検査している。原因究明には少なくとも数日かかる見通し。

■南阿蘇村 断水なお1350戸
南阿蘇村では7日現在、給水戸数の3割以上に当たる1350戸が断水している。
地元の水源から取水する小規模な簡易水道が村内の9割近くを占め、水源の枯渇や土砂崩れが断水に直結しているためだ。断水は地震の被害が大きかった旧長陽村に集中。沢津野・乙ケ瀬地区(88戸)や下田地区(250戸)の一部では、地震後に水源が枯渇した。
土砂崩れが起きた山中にある水源も多く、調査が難しい地区もある。立野地区は(347戸)は阿蘇大橋に通した水道管を使って対岸から給水を受けていたが、地震で橋が崩落。新たな土砂崩れの危険性が高く、復旧のめどは立っていない。

■被災地で空き巣、倉庫進入 容疑者2人逮捕
熊本地震で東海大学農学部の学生3人が亡くなるなど大きな被害が出た南阿蘇村河陽の黒川地区で空き巣に入ったとして、県警は7日、窃盗などの疑いで高森町の会社員の男(38)を逮捕した。逮捕容疑は6日午後1時半ごろ、同大の男子学生(18)が住む黒川地区のアパート1階にベランダから進入。テレビなど計約2万円相当を盗んだ疑い。
同地区には多くの学生が下宿していたが、地震後に避難。被害に遭った学生も熊本市の実家に避難している。
また、大津署は7日、被災した会社の倉庫に無断で立ち入ったとして、建造物進入の疑いで山口県下関市の大学生の男(21)を現行犯逮捕した。

■地震のデマ許さない
「不安あおるデマは許さない」。県内の大学生でつくる「サイバー防犯ボランティア」は7日、インターネット上を飛び交う熊本地震に関するデマ情報を探す取り組みを始めた。発見した情報は早速、県警に報告した。
同団体は熊本市学園や県立大、崇城大などの約60人。普段は県警と連携しながら週1回サイバーパトロールを実施し、出会い系サイトや危険ドラッグの売買などに関する有害情報の発見に努めている。
熊本地震では「熊本市動植物園のライオンが逃げた」「大型商業施設が燃えている」などの悪質な捏造情報が広がったことから、デマ情報の発見に力を入れることにした。

5月9日(月) 熊本地震26日目

■被害規模は「大震災級」
熊本地震は震度6以上の揺れが4月14日~16日に計7回。1995年の阪神大震災の1回、2004年の新潟県中越地震の5回を上回る。
県の集計によると、震度6弱以上を経験した被災市町村民の割合は人口の83%に上り、阪神42%、中越16%より高い。応急判定で「危険」とされた建物も阪神、中越の約3倍で、1万5千棟に迫る。
民間の住宅や企業、公共インフラを合わせた社会資本の被害総額は、阪神(兵庫県推計)が9兆9千億円、中越(新潟県推計)が約1兆6,500億円。熊本地震の推計値が出る見通しはまだ立たないが、県庁内では「少なくとも中越地震を上回る」との見方が広がっている。

■熊本市「拠点」を整備
熊本市は、熊本地震による避難者のプライバシーに配置した「拠点避難所」21ヵ所を設置し、8日、受け入れを始めた。これまで小中学校など約160ヵ所に点在していた避難所を集約、大型連休明けの学校再開に備える。同日午後5時現在、「拠点」21ヵ所に1895人が避難、学校施設を含む58ヵ所の避難所を閉鎖した。

■地元負担ゼロの特別法を
熊本地震から迅速、確実な復旧復興を進めるため、県は9日、政府に対し、被災自治体の財政負担を実質ゼロにする特別法の制定を要望する。東日本大震災で政府が東北復興支援のために作った特別法を念頭に樺島郁夫知事が上京し、安倍晋三首相に伝える。

■避難なお1万3000人超 エコノミー症候群49人に
被災地は8日、余震が収まらないまま、大型連休を終えた。自宅の全半壊や余震への警戒などにより、今も1万3千人以上が避難を続けており、エコノミークラス症候群の患者も増えている。
県は8日、熊本地震でエコノミークラス症候群を発症し、医師が入院の必要性を認めた患者が7日、午後4時現在、1人増えて49人になったと発表した。新たな1人は65歳未満の男性。49人の性別は男性11人、女性38人。年代別は65歳未満18人、65歳以上31人となった。

■余震1326回
気象庁の速報値によると、4月14日夜の前震から8日午後8時までに、震度1以上の地震は1326回に上る。8日は25回発生し、内訳は震度3が1回、震度2は7回、震度1は17回だった。

■県内の避難者
県災害対策本部の集計では、県内の避難者は8日午後1時半現在、342ヵ所に1万3883人。このうち熊本市の5263人、益城町の4312人が突出して多く、御船町は956人、嘉島町や南阿蘇村、西原村にも600人台の避難者がいる。

5月10日(火) 熊本地震27日目

■益城、南阿蘇など学校再開
熊本地震で休校した小中学校のうち、甚大な被害を受けた益城町や南阿蘇村など8市町村の62校が9日、再開した。久しぶりに登校した子どもたちの歓声が学びやに響いた。県内小中高校の休校は11日までに解消する。
益城町では全ての小学校5校と中学校2校が再開。校舎の渡り廊下が倒壊するおそれがある木山中は、益城中央小に間借りした。
周辺で多くの家屋が倒壊した広安小は在籍する712人のうち、町外へ避難するなどしている児童を除く621人が登校。がれきが脇に残る危険な道路を避け、教員が集団登校の児童を誘導した。子どもたちは教室で犠牲者に黙とう。田中 元(はじめ)校長(54)が校内放送で「みんなが元気になり、笑顔が戻ることを全国の人たちが願っている。力を合わせ、一歩一歩進みましょう」と呼び掛けた。

■南阿蘇・立野の避難児童ら 大津小へ
熊本地震で阿蘇大橋が崩落し、南阿蘇西小への通学が難しい南阿蘇立野地区の児童は9日、村境を超えて隣町の大津小へ。不安を胸に学校生活を再開したが、新たな友達を見つけて教室を駆け回った。
南阿蘇西小から、大津小に通学先を変更したのは1~6年生の21人。同日午前20分ごろ、大津小の図書室に保護者とともに集まった。

■「非常災害」きょう閣議決定
安倍晋三首相は9日、官邸で開かれた非常災害対策本部会議で、熊本地震を大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定する政令を10日に閣議決定すると表明した。13日に公布、施行する。
地震で被害を受けた道路や河川など自治体の復旧事業を国が代行できる。政府は、崩落した阿蘇大橋(南阿蘇村)の復旧を、管理者の県に代わり国が実施することも公表した。

■車中泊6割が「余震不安」 民間グループ調査
熊本地震で車中泊を続ける避難者に理由を尋ねたところ、6割近くが「余震への不安」を抱えていることが9日、熊本市の民間グループ「こころをつなぐ『よか隊ネット』」(佐藤彩己子[あつこ]代表)の調査で分かった。行政から支援に関する情報を直接聞いていないと答えた人も8割を超え、情報が届きにくい環境にある実態も浮かび上がった。
グループは、東日本大震災で活動した社団法人など32団体でつくる。4月26日から5月4日まで熊本市や益城町、御船町の公園などの駐車場28カ所で131人から聞き取った。車中泊を続ける理由は「再び大きな地震があるのではないかと不安」「余震が続き、自宅で寝るのが不安」を合わせた余震への不安が58.0%と最も多かった。次いで「自宅に大きな損傷があり、住める状態ではない」の26.7%が続いた。
車中泊をやめるためには「精神的な不安の解消」が42.7%で最多だった。

■「おにぎりが原因」
熊本市が避難所に指定している中央区の城東小で避難者らがおう吐や下痢などの症状を訴えた問題で、市保健所は9日、6日の食事で配られたおかかおにぎりが原因の食中毒と断定した。市保健所によるとおにぎりは避難者やボランティアら43人が食べ、34人が症状を訴えた。患者の便や残ったおにぎりから黄色ブドウ球菌が検出された。全員が快方に向かっているという。

5月11日(水) 熊本地震28日目

■県内全小中学校 きょう休校解消
熊本地震で休校していたた公立高17校と熊本市の小中学校が10日、再開した。残る西原村の全3小中学校が再開する11日には、県内すべての小中学校で休校が解消する。
再始動した学校は地震で傷ついた子どもを気遣い、ゆっくりと日常を取り戻そうとしている。

■土砂災害を警戒 県内に雨、避難指示も
県内は10日、全域でまとまった雨が降り、熊本地震で土砂崩れが多発した南阿蘇村が約2千世帯4694人の避難勧告を避難指示に引き上げるなど、被災地は警戒にや追われた。熊本地方気象台は地盤の緩んだ場所が多いとして、引き続き警戒を呼び掛けている。

■「陣太鼓」復活へ懸命
お菓子の香梅(熊本市)は熊本地震で西原村の工場が被災し、全商品の製造を停止している。
人気和菓子「誉の陣太鼓」は5月初めに在庫を売り尽くし、品切れとなった。再開の見通しは立っていないが、熊本を代表する銘菓を復活させようと、懸命の復旧作業を続けている。
西原村の工場は、同社唯一の製造施設。4月14日の前震後、製造を停止し、16日の本震でさらに激しい被害を受けた。あんの製造設備や貯水タンクが破損し、重さ10㌧のオーブンが移動するなど「壊滅状態」(同社)となった。

■東海大 農学部の再開準備
休講中の東海大農学部阿蘇キャンパス(南阿蘇村)が、7月1日から熊本キャンパス(熊本市東区)で講義を再開する方向で準備を進めている。熊本キャンパスでは農業実習ができないため、九州沖縄農業研究センター(合志市)や県立農業大学校(同市)などに協力を求めるほか、被害が少ない阿蘇キャンパスの牧場使用などを検討。県外に避難した学生向けにインターネット配信も計画している。
阿蘇キャンパスは校舎のほか牧場や農場などを備え、約千人の学生が在籍。一部の建物などが損傷して復旧の見通しは立たず、前震翌日の4月15日から休講している。学生約750人が暮らすアパート、下宿も倒壊が相次ぎ、3人が犠牲に。近くの阿蘇大橋が崩落するなど通学も困難なため、熊本キャンパスでの代替検討を決めた。

5月12日(木) 熊本地震29日目

■断層、川沿いに犠牲集中 益城町悪条件重なる
熊本地震で大きな被害を受けた益城町で、犠牲となった20人は布田川・日奈久断層付近と、町内を流れる秋津・木山川沿いに集中していることが11日、熊本日日新聞社の取材で明らかになった。
専門家は、地盤がもろい河川域と断層帯がほぼ重なることで被害が拡大した可能性が高いとみている。
また、4月16日未明の本震で死亡した12人のうち、少なくとも6人は前震後に避難しながら自宅に戻り、被災したケースだった。避難の在り方を含め、今後の防災対策の課題となりそうだ。
熊本地震では日奈久断層地帯に起因するマグニチュード6.5の前震と、布田川断層帯に起因するマグニチュード7.3という阪神大震災クラスの本震が連続して発生。二つの断層が複雑に絡み合う益城町は県内で唯一、震度7に2度見舞われた。

■県外へ避難 千人超
熊本地震で、県外の自治体が提供する公営住宅や連携する民間住宅に避難している人が千人を超えたことが11日、各自治体への取材で分かった。うち九州6県への避難が8割を占めた。
ホテルや旅館に一時的に避難したり、親類宅に身を寄せたりしている人もおり、県外避難者はさらに多いとみられる。避難先の把握や、受け入れ自治体との連携強化の必要性を指摘する声も出ている。
県外の公営住宅や民間住宅に避難しているのは、少なくとも22都道府県の計431世帯1030人。最も多いのは、福岡県の264世帯626人で、長崎県24世帯62人、宮崎県24世帯59人、佐賀県24世帯55人と続いた。鹿児島県は17世帯51人、大分県は6世帯16人。九州以外で目立ったのは、愛知県15世帯37人、山口県11世帯29人だった。

■阿蘇市、観光被害15億円
阿蘇市は11日、熊本地震による市内観光業の被害額が15億円近くに達していることを明らかにした。市内での観光客による年間消費額の約1割に上り、市は「さらに増える可能性がある」と懸念している。
市観光課が、4月16日の本震後から大型連休終了までの約3週間について、市内の飲食店や土産物店、宿泊施設などでの聞き取り調査を基に消費損失額を試算した。
それによると、登山道路の損壊で立ち入りができなくなった草千里や阿蘇山上での消費額はゼロ、大観峰や阿蘇神社周辺は前年度比8割減、宿泊は同9割減。損失は宿泊で8億9780万円、日帰りは5億7890万円で、総額14億7670万円と見込まれる。
観光客が2015年度に市内で消費したのは158億2730万で、損失額はその9.3%。

■両陛下 19日にも来熊
天皇、皇后両陛下が、相次ぐ地震で多数の被害が出た熊本県を来週後半にも訪れ、被災者をお見舞いされることが11日、分かった。春の叙勲関連の行事が18日まで入っているため、宮内庁と県では、いまだに起き続けている地震の状況を慎重に考慮しつつ、19日を軸に日程の調整を進めている。
宮内庁幹部によると、両陛下は地震発生以来、「一日も早く赴きたい」との気持ちを示されていた。同庁は訪問時期について、現地の関係者が対応に追われていることを考え、県側の判断を優先するとしていた。関係者によると、訪問は日帰り。益城町や南阿蘇村といった被害の大きかった地域を訪ね、避難所などで被災者を直接慰められる。

5月13日(金) 熊本地震30日目

■地震は減少方向
熊本地震で気象庁は12日、発生から約1ヵ月間の状況をまとめた。
1日当たりの地震回数は緩やかに減少しているが、依然として活発な状態が続いているとして警戒を呼び掛けている。気象庁によると、4月14日からの地震は1400回を超えた。
マグニチュード3.5以上は、1995年以降に内陸や沿岸部で起きた主な地震と比べると過去最多ペースで推移している。

■「再び働ける日いつ」
4月14日に熊本地震が始まって以降、雇用を巡る労働相談がハローワークに殺到する中、県内の労働者は出口の見えない不安感を募らせている。
熊本市中央区大江のハローワーク熊本は、一部カウンターの待ち時間が2時間以上になるほど混雑。ただ、地震の影響を受けた人はまだ少ないという。仮設住宅などに入居が決まった後に手続きをする人もいるのではないか、とみている。

■運動会 対応分かれる
5月は運動会や体育祭のシーズン。10月までに全校で授業を再開した熊本市内の小中学校では、熊本地震の余波で「規模を縮小して開催」「延期」「中止」と対応が分かれている。「日常を取り戻すきっかけに」と開催を決めた学校では、子供たちが練習に汗を流していた。

■益城町の小中学生 転校、町外通学131人
益城町のすべての小中学生約3100人のうち、熊本地震で町外の学校に転校や一時的な通学をしている児童生徒が131人に上ると町教委が12日、発表した。
在籍校を町外に移す転校は33人で、このうち14人は県外へ移った。ただ転校に必要な住民票などの発行は滞っており、転出先が特別に受け入れている。98人は転校ではなく、避難先の学校に一時的に通う「体験入学」。このうち42人は県外の学校に通っている。

■罹災証明 発行進まず
熊本地震による建物の損壊を証明し、被災者が公的支援を受けるのに必要な罹災証明書の発行は約2万7520件と、申請(約9万5020件)の29%にとどまっていることが12日、県内で建物損壊が確認された30市町村への取材でわかった。自治体間で発行ペースの差は大きく、人手不足で調査が進まないケースもある。国は5月中に発行を終えたいとしているが、6月にずれこむ可能性も出ている。
罹災証明書は、自治体職員が建物の被害状況を調査し、損壊の割合に応じて「全壊」「半壊」「一部損壊」などと判定して発行する。罹災証明書は生活再建支援金のほか、税の減免や義援金の受け取り、仮設住宅への入居などの際に必要となる。

5月14日(土) 熊本地震31日目

■県史上最悪の災害に
熊本地震は発生から14日で1ヵ月。地震による死者は49人で、行方不明者は1人。避難生活で体調を崩すなどした災害関連死の疑いのある人も19人に上った。
公共土木施設や農林水産関係の被害は、現時点で3千億円を超え、県の災害史上最悪となっている。
避難者は4月17日に最大18万人を超えた。13日現在で1万477人が県内244ヵ所の避難所で不自由な生活を強いられている。今回の震災の特徴である、「車中泊」の避難者数などは、つかみきれていないのが実情だ。
住宅被害は13日の集計で約8万棟に上る。道路や橋など公共土木施設の被害額は、県や市町村が管理する分だけで少なくとも1710億円。農林水産関係は、5月1日時点の1022億円からさらに増え、1345億円(13日現在)で過去最多。国関係の施設や民間施設、経済分野などの被害額は算出できておらず、被害総額の確定はまだ見通せない。

■震度3以上 過去最高93年分
気象庁の速報値によると、熊本地震の発生以降、震度1以上の地震は13日午後8時までに1420回に達した。マグニチュード3.5以上の地震は238回で、新潟県中越地震(227回)、阪神大震災(101回)を超え、1995年以降、過去最多ペースで推移している。
震度7は4月14日夜と16日未明の2回。震度6は5回。震度5は11回、震度4は88回に上る。4月末までに、全体の77%に当たる1093回の地震があった。1日当たりの最多は、4月16日の202回。
震源と震度両方を観測するようになった1923年1月からことし4月13日まで、震度3以上の地震は合計312回、一月足らずで過去93年分の記録を超えたことになる。

■避難者5割「眠れない」
県内で避難生活を送る100人を対象に共同通信が実施したアンケートで、8割近くが「自宅が壊れて帰れない」と回答した。「避難所でゆっくり眠れない」と答えた人は5割近くに上った。アンケートは5月10日~12日、熊本市や益城町、南阿蘇村など6市町村の避難所にいる人や、避難所の駐車場に止めた自家用車やテントで寝泊まりしている人に聞き取って実施した。
避難理由を複数回答で聞いたところ、自宅損壊の77人に次いで多かったのは、「余震が怖い」で33人だった。自宅が被災せずライフラインも復旧したのに、余震が怖くて避難所にとどまっているという人も9人いた。建物被害の調査が終わらないのを理由に挙げた人は16人おり、自治体職員の不足などが原因で調査が遅れている現状が浮かびあがった。

5月15日(日) 熊本地震32日目

■犠牲者に黙とう 御船町
死者49人と行方不明者1人をだし、今なお1万人以上が避難所で暮らす熊本地震。
発生から1ヵ月の14日夜、避難所となっている御船町の町スポーツセンターで「復興へのつどい」が開かれた。被害者らが100個のキャンドル型ランタンを囲みながら犠牲者に黙とうをささげ、復興を誓った。
スポーツセンターを管理する熊本YMCAなどが、玄関前エントランスで実施。避難者ら約150人が参加し、「負けるな熊本」など全国から届いた寄せ書きが会場を埋めた。

■新耐震基準の全壊17棟 益城町
熊本地震で震度7を2度観測した益城町で、耐震基準が厳しくなった2000年以降に新築されたとみられる木造住宅17棟が全壊していたことが14日、日本建築学会の調査でわかった。
東京都であった学会の地震被害調査速報会で、京都大の五十田博教授(木質構造学)が報告した。五十田教授によると、2000年以降に建てられた木造家屋10棟の全壊を町役場周辺などで確認。うち4棟は完全に倒れていた。そのうち1棟は、基準より数段耐震性を高めた「等級2」か「3」とみられる家屋だった。五十田教授は「これまで倒れたという話を聞いたことがない」と話している。
ほか全壊していた7棟も2000年以降のものとみられ、正確な建築年の確認を進めている。

■熊本・山鹿・菊池 今年初の真夏日
熊本地震の被災地は14日、高気圧に覆われて日射しが強まり、6月中旬から7月下旬並みの暑さとなった。5月に入り、避難者が熱中症になって救急搬送されるケースも起きている。

■鶴屋本館一部再開
鶴屋百貨店は14日、熊本地震で休業していた熊本市中央区の本館の営業を一部再開した。同店は県内唯一の百貨店。再開したのは化粧品などを扱う1階と地下1、2階の食品売り場。

5月16日(月) 熊本地震33日目

■採卵鶏54万羽 苦渋の処分
熊本地震は鶏卵生産者に大打撃を与えた。鶏舎や機械類が壊れて餌や水を与えられず、鶏の大量処分を迫られた。
県の推計によると、処分された鶏は54万羽、県内の採卵鶏全体の22%に相当し、経営に深刻な影響を受けた生産者も少なくない。

■養豚業 半数が被災 手作業で餌やりも
鶏卵生産に次いで機械化が進んでいる養豚農家にも、地震被害が相次いだ。
県養豚協会の聞き取りによると、会員農家93戸のうち、約半数の54戸が被災したと回答。菊池や阿蘇地域で自動給餌ラインの損傷が目立ったほか、豚が死亡するなどの被害があった。
大津町などで約2万5千頭を飼育する県内最大のセブンフーズ(菊池市)では、大型の資料タンクの一部が倒壊。タンクからパイプを通じて各豚舎に資料を運ぶ自動給餌ラインも損傷し、機械化されていた餌やりの大部分を一時、人海戦術に頼った。

■畜産農家 廃業の懸念
熊本地震で大きな被害を受けた地域を中心に、畜産農家の廃業が懸念されている。倒壊した畜舎などの再設備には数千万~数億円かかるケースもあるためだ。
地震で死者5人も出た西原村は県内有数の畜産地帯だが、既に廃業の動きが一部で出始めている。後継者のいない農家や高齢農家は多額の設備投資に消極的なため、廃業につながりやすいという。
あか牛200頭を飼う農家は、「一番大きな牛舎がぺっしゃんこ。牛の大部分は幸い助かったが、残った牛舎にすし詰めになり、ストレスで痩せて困っている」という。さらに自宅が土砂崩れに遭う恐れがあることから、雨の日は家族で車中泊を強いられ、牛舎再建どころではないという。

■稲作断念 大豆転作へ
熊本地震で農地が大きな被害を受けた熊本市東区の秋津地区。一帯の農家でつくる秋津営農組合(137戸)は、ほとんどの農地で稲作をあきらめ、大豆への転作を決めた。

5月17日(火) 熊本地震34日目

■危険宅地2259ヵ所 6市町村「東日本」上回る
県は16日、地震による被害を調べる「被災宅地危険判定」の結果、県内6市町村の計2259ヵ所の住宅敷地が「立ち入り危険」と判定されたと発表した。亀裂が入ったり、斜面を保護する擁壁が崩れたりしており、新潟県中越地震(527ヵ所)東日本大地震(1450ヵ所)を大幅に上回っている。調査未着手の自治体もあり、被害は広がる可能性もある。

■アイシン九州 8月再開 自動車部品トヨタへ供給
熊本地震で操業を停止した自動車部品メーカーのアイシン九州(熊本市南区城南町)は16日、本格的な生産再開が8月下旬になるとの見通しを明らかにした。工場の修復が完了次第、愛知県にあるグループ工場などに移している部品の生産を順次、熊本に戻す方針。同社の操業停止は、トヨタ自動車が大半の生産を停止するまで影響を与えたが、本震から1ヵ月目にして完全復旧への道筋がついたことになる。

■益城町に仮設516戸追加
県は16日、熊本地震で大きな被害を受けた益城町に応急仮設住宅516戸を追加建設することを明らかにした。1ヵ所での建設戸数としては県内最大規模となる見通しで、17日に着工する。これで建設が決まった仮設住宅は、13市町村の35ヵ所1728戸となった。入居開始は早くても6月中旬で、避難生活の長期化は避けられそうにない。

■八代市役所 被災からかう 庁舎に落書き
熊本地震で使えなくなった八代市本庁舎(松江城町)の壁に、被災をからかうような落書きがあるのが16日見つかった。市は八代署に器物損壊罪で被害届を提出、敷地内の全面立ち入り禁止も検討する。
落書きされていたのは、東側の地下1階入り口の壁。ネット上などで近年、うわさになっている地震兵器を挙げ、一面に青色のラッカーで「キャハーHAARPで全壊もすこしだったネ~」などと書かれていた。

5月18(水) 熊本地震35日目

■熊本地震 補正予算成立
熊本地震からの早期復旧・復興に向け総額7780億円を計上した2016年の補正予算は17日の参院本会議で全会一致により可決、成立した。4月14日の地震発生から約1ヵ月でのスピード成立。安倍晋三首相は官邸で記者団に「余震が続く中、被災者は不自由な日々を送っている。一日でも早く安心して暮らせる住まいの確保に全力を尽くしたい」と述べた。

■罹災証明書発行が本格化
熊本市は17日、市役所や区役所など計7ヵ所に罹災証明書の発行窓口を開設。被災者が「半壊以上」と申請した住居の証明書発行が、本格的に始まった。

■西原村も発行開始
熊本地震で被害が相次いだ西原村は16日、罹災証明書の発行を始めた。同日までに1953件の申請があり、郵送などで申請者に届ける。同村は他自治体の国の職員の協力を得て17日正午までに、村内のぼぼ全戸数となる2576戸の被害状況を調べた。

■仮設入居 判定で明暗 納得いかぬ被災者も
「半壊以上」の申請を受けた家屋に対する罹災証明書の発行が本格化した熊本市。17日に開設された窓口には、多くの被災者が詰めかけた。生活再建へと歩みだす人、結果に肩を落とす人・・・。判定によって生じる支援の差に、表情を曇らせる被災者もいた。
罹災証明の判定は、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の4段階。判定によって支援の内容が変わるだけに、被災者にとっては死活問題。窓口ではパソコンに映し出される我が家の写真を見ながら、真剣な表情で説明を受けていた。

■発達障害者 心のケアを
熊本地震の発生後、発達障害がある人や児童生徒の親たちから「避難所での生活が難しい」「子どもがトイレに行けなくなった」といった被災に関する相談が、県内で約300件に上ることが17日、わかった。
自宅から避難所に移ったことなどによる環境変化に対応できていないとみられる。支援団体は「過去の災害でも落ち着いたころに、心の問題が出てきた。今後も支援が欠かせない」と指摘している。

5月19日(木) 熊本地震36日目

■両陛下 午後熊本を慰問
天皇、皇后両陛下は19日、熊本地震で大きな被害を受けた南阿蘇村や益城町を訪れ、被災者をお見舞いされる。両陛下は同日午後、羽田発の特別機で熊本空港に到着。蒲島郁夫知事から被災状況を聞き取った後、自衛隊のヘリで南阿蘇村に向かい、避難所での生活が続く被災者を慰問される。

■71指定避難所使えず
熊本地震を受け県内に最大562ヵ所設けられた指定避難所で、計71ヵ所の建物が天井材や照明器具の落下などで避難所として使用できなかったことが18日、分かった。建物の骨格部分に比べ、こうした天井材などの「比構造部材」の耐震化は遅れており、阪神大震災などでも問題になった。
□使えなかった71避難所の種類(学校施設(体育館など)45・市町村体育館15・公民館6・庁舎5)

■避難者1万人割る
県災害対策本部は18日、熊本地震による避難者数が前震発生翌日の4月15日以降、初めて1万人を下回ったと発表した。ピーク時の4月17日には18万3882人だったが、水道などライフラインの復旧や余震の減少によって自宅に戻る人が増えたとみられる。
災害対策本部によると、5月18日午後1時半現在、県内20市町村の避難所210ヵ所に9907人が避難。最も多いのは益城町の3228人、次いで、熊本市2911人、西原村679人、御船町600人など。

■震度1以上 1500回迫る
気象庁の速報値によると、熊本地震の発生以降、震度1以上の地震は18日午後5時までに1493回に達した。
同じ内陸及び沿岸で発生した地震と比較すると、新潟県中越地震(2004年)は発生1ヵ月で809回、岩手・宮城内陸地震(08年)は523回で、過去の地震を大幅に上回りながら推移している。

5月20日(金) 熊本地震37日目

■両陛下 被災者お見舞い
天皇・皇后両陛下は19日、熊本県を訪れ、熊本地震で大きな被害が出た南阿蘇村と益城町の避難所で被災した人たちを見舞われた。不自由な避難生活を1ヵ月以上も続けている被災者を「これからも体をお大事に」「復興の日を待っております」と励まし、被災地の状況も上空からヘリで視察された。
両陛下は正午過ぎ、特別機で熊本空港に到着。今も210人が避難する南阿蘇村河陽の南阿蘇中体育館では、天皇陛下が膝を突き、地震の様子を語る避難者を「ずいぶん怖かったでしょうね」と気遣われた。

■震度1以上 1500回超す
気象庁の速報値によると、熊本地震の発生以降、震度1以上の地震は19日午後5時までに1502回に達した。昨年1年間に全国で観測された震度1以上の地震は1842回で、その8割を1ヵ月余りで超える異例の状況となっている。
震度別でみると、震度7が2回(4月14日夜、同16日未明)、震度6が5回、震度5が11回、震度4が88回、震度3は255回、震度2が546回、震度1は596回。

5月21日(土) 熊本地震38日目

■消費者相談1000件超
熊本県を中心に起きた地震を巡り、各地の消費者相談センターや専用相談窓口「熊本地震トラブル110番」に寄せられた相談が19日現在、計1070件に達したことが20日、国民生活センターへの取材で分かった。
被災した自宅の修理や家賃支払いに関する内容が目立ち、義援金募集をかたった不審電話などに関する相談は22件あった。

5月22日(日) 熊本地震39日目

■「二次避難」本格化 体育館・車中泊から宿泊施設へ(南阿蘇村)
南阿蘇村は、熊本地震の避難者を地元の宿泊施設へ移す「二次避難」を本格化している。
既に高齢者ら約170人が阿蘇地域の6施設へ移動。その後も約550人が体育館などで避難生活を続けてきたが、このうち41世帯132人が21日、新たに避難所としたレジャー施設「南阿蘇ファームランド」(同村河陽)へ移動した。観光地として宿泊施設を多く抱える地元の利点を生かした格好だ。

■益城町の避難テント村 月末閉鎖へ 被災者 移転先決まらず戸惑い
熊本地震で約500人が避難生活を送る町総合運動公園のテント村を5月末で閉鎖する考えを打ち出している。避難住民も今後の大雨や暑さを懸念するが、プライバシーが守られるテント生活を望む意見もあり、町方針には戸惑いも。各自の移転先がいまだに決まらないことにも、いら立ちを募らせている。
テント村は4月24日、登山家の野口健さん(42)=東京都=が車中泊の被災者を助けたいと、公園内の陸上競技場に開設。運営も野口さんらがボランティアで支えているが、競技場を提供する町が13日までに閉鎖を独自に決定。「競技場は町の防災ハザードマップで大雨時1~2メートル浸水する恐れがある。夏に向けて熱中症の危険性も高まる」と理由を挙げている。

■熊本地震 就活に影
熊本地震は、就職活動にも影を落としている。学生は企業側との接触の機会を奪われたほか、大学側の支援が一時ストップ。地場企業は「優秀な人材が県外に流出するのではないか」といった不安を抱えている。
経団連のルールが変更され、選考活動解禁は昨年の8月から2ヵ月前倒し。ただでさえ短期集中型と言われる中、県内の学生と企業を地震が襲った。

5月23日(月) 熊本地震40日目

■阿蘇登山道 風景一変
表皮がはがれたような赤茶けた山肌、草原に生じた不自然な起伏。この季節、新緑に囲まれた美しいはずの阿蘇の山と草原は、痛々しく変貌していた。
山上に通じる通称、阿蘇パノラマラインの登山口は阿蘇市から一本、南阿蘇村からは2本ある。いずれも、登山沿いの土砂崩れや道路崩壊で通行できないままだ。

■熊本市職員ら1万人問診 心の健康 調査へ
熊本市は、熊本地震への対応に奔走する市職員らを対象に、心の健康状態を把握するための問診調査を始めた。県内では、発生から1ヵ月以上が過ぎた22日現在でも、9100人が避難生活を送り、熊本市は約2500人と3割近くを占める。
市は、「職員の心身の疲労も限界に達しつつある」(労務厚生課)と説明。放置すれば被災者支援が行き届かなかったり復興が遅れたりするため、深刻化を防ぐ。

■中学校「元気です」熊本市で体育大会
熊本市のほとんどの中学校が22日、体育大会を開催。熊本城に近い藤園中では、生徒たちが「復興熊本 ありがとう」の文字を掲げ、地震で痛んだ天守閣の下で力いっぱいの競技を見せた。10日に学校が再開し、練習できたのは約10日間。プログラムを一部縮小し、予定手通り開催した。生徒たちは「繋げるばい 感謝のバトン」を合言葉とし、力強い徒競走や応援演武を披露した。

5月24日(火) 熊本地震41日目

■地震被害 最大4.6兆円
内閣府は23日、熊本地震による住宅や道路などへの直接的な被害額が県内で最大3兆8千億円、大分県を含めると最大4兆6千億円に上るとの試算を初めてまとめた。
2004年の新潟県中越地震の3兆円(同県推計)を上回る可能性があり、2011年の東日本大震災の約16兆9千億円(内閣府推計)、1995年の阪神大震災の約9兆9千億円(兵庫県推計)に続く規模となる。

■逃げ水 連日の真夏日 益城町
県内は23日、各地で最高気温が30度を超す「真夏日」となり、熊本地震で多くの人が避難生活を強いられている益城町でも31度まで上がり、2日連続で30度を超えた。益城町総合体育館では、かげろうや路面が水面のように反射する逃げ水現象が発生。
暑さを避けて、周辺の避難テントなと゜の人影はまばら。支援作業をする人たちの額には大粒の汗が光っていた。

■熊本市 避難所集約2週間
熊本地震で熊本市が避難所の集約を始めて2週間。今も被災者約1500人が、集約され21カ所に身を寄せている。
「家が全壊して、行くところがない」「家具の固定を済ませるまで、怖くて家に入りたくない」。避難者は口々に余震への恐れと今後の不安を訴える。

■217棟 補修建て替え必要 県内公立校の体育館、校舎
熊本地震で被害を受けた県内の小・中・高校などの公立校で、校舎と体育館計106校、217棟が補修や建て替えをしなければ使用できないことが23日、分かった。各自治体は国の補助で修復を進めたい考えだが、授業への影響も懸念される。

5月25日(水) 熊本地震42日目

■テント村 まだいたい・・・
益城町は24日、町総合運動公園に設置されたテント村で寝泊まりしている避難者約600人に、閉鎖予定の5月末までに他の避難所に移るよう呼び掛けを始めた。
梅雨の大雨による浸水、気温上昇に伴う熱中症を懸念した安全対策だが、「屋根が怖い」とテント生活の継続を望む避難者も少なくない。

■宇城市も罹災証明発行 希望者殺到 対応追いつかず
熊本地震に伴う罹災証書の発行が24日、宇城市役所で始まり、県内で申請を受け付ける33市町村全てでスタートした。だが、希望者への対応が追い付かず、予定より約5時間早く受け付けが打ち切られた。市によると、13日までに申請した約6千人分の発行準備が整った。

■上井手200ヘクタール田植え断念 幹線22ヵ所被害 通水できず
白川から水を引くため、熊本藩主の加藤忠広が工事を始めたとされる大津、菊陽両町の農業用水路「上井出」(うわいで)(水路延長13.5㌔)が、熊本地震の本震で幹線水路22ヵ所を壊され、水田約200㌶の田植えを断念したことが24日、地元の大菊土地改良区への取材で分かった。
上井出の被害は護岸の土砂崩れ、亀裂や倒壊のほか、取水口に大量の土砂が堆積し、水路に巨石が落ちるなどしており、応急工事で対応できないという。土地改良区の理事会で今季の通水、稲作断念を決め、大豆などの転作を検討する。

■被害者に義援金届かず
熊本地震の義援金のうち、県が25市町村に1次配分した計約7億5千万円のほとんどが、配分から2週間以上たっても被災者に届いていない。24日時点で支給したのは1世帯10万円のみ。地震による熊本、大分両県の建物被害は10万棟を超え、住宅の被害調査が進まず、罹災証明書の発行が追い付いてないのが主な原因だ。
県は、死亡・行方不明者1人当たり20万円、全壊家庭20万円、半壊10万円などと支給の目安を決め、6日に各市町村に送金。
だが被災者に支払われたのは和水町の半壊1世帯、10万円のみ。市町村に直接寄せられた義援金も含め支給されていない。一次配分以外にも100億円近くが県に寄せられているが、次の配分のめどは立っていない。

■熊本城復旧支援
熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城(熊本市中央区)の復旧支援金が、1ヵ月で6億円を突破した。20日までに3650団体・個人から、約6億3200万円が寄せられている。
同市が「熊本城復旧支援金」として、4月21日に専用口座を開設。国内外から支援が集まり、「名城復活」への期待の高さを物語っている。
熊本城は国指定重要文化財13棟すべてが被災し、石垣は52ヵカ所が損壊。崩落。地割れがひどく、余震が続く中で危険な状態が続いており、復旧費用の見通しは立っていない。

5月26日(木) 熊本地震43日目

■県内危険個所に避難所165カ所
土砂崩れなどの恐れがある県内の土砂災害危険個所に、市町村指定の避難所や避難場所が少なくとも165ヵ所あることが25日、わかった。このうち4ヵ所は著しい危害が生じる恐れがあり「レッドゾーン」と呼ばれる「特別警戒区域」にあり、一部は熊本地震でも避難先となった。
安全が確保されるべき避難所だが、集落全体が山あいにあったり、近隣に適当な場所がなかったりして、やむを得ず指定しているケースが目立つ。熊本地震で地盤が緩んでいるとみられるため、県は梅雨入りを前に安全確保の徹底や、別の地域への予防的非難を図るよう各市町村に呼び掛けている。

■罹災証明2次調査
熊本市は25日、罹災証明書の1次審査判定を不服として、再調査を求めた被災者の家屋の「2次調査」を始めた。
罹災証明書の判定は「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の4段階。それぞれの判定で金銭的な支援の手厚さに濃淡がある。1次調査は家屋の損壊具合を外側から目視で調べるが、2次は住人立会いの下で建物の中に入って柱や壁などを調べる。

■益城町 窓口業務延長
益城町は25日から、町中央公民館で行っている窓口業務の受付時間の延長を始めた。水曜日は、通常の午後5時15分から午後7時まで延長。日曜日も午前8時半~正午と午後1時~同5時15分に業務を行う。6月末まで。
平日は仕事で窓口を利用できない町民に配慮した。延長する窓口業務は、住民生活課といきいき長寿課、こども未来課。所得証明書や住民異動届の交付、児童手当の申請などを受け付ける。

■「みなし仮設」1333戸確保
県は25日、熊本地震に伴う「みなし仮設住宅」として、補修すれば提供できる民間賃貸住宅を24日までに1333戸確保したと発表した。申し込み後、1ヵ月程度で入居できる。
みなし仮設は、県や熊本市が民間賃貸住宅を借り上げ、被災者に無償提供する制度。
不動産団体の相談窓口で条件に合う物件を選び、市町村を通じて申し込む。住民票や罹災証明書が必要。相談窓口 0120(03)0338

■来月から通常ダイヤ 熊本空港国内線
熊本空港を発着する国内線の航空便が6月から通常ダイヤに戻る。同空港は4月16日の熊本地震の本震でターミナルビルが被災するなどして全便運休となり、同19日から運行が徐々に再開していた。
日本航空は6月1日から、1日7便だった熊本-羽田を8往復に戻す。全日空(共同運航ソラシドエア含む)は同2日から、熊本-羽田を2往復増の10往復、熊本-伊丹を1往復増の6往復とする。ジェットスター、ブジトリームエアラインズ、天草エアラインは通常運航している。
運休している国際線全3路線のうち、中華航空の熊本―台湾高雄線が同3日から再開する。香港航空の香港線、アシアナ航空のソウル線再開時期は未定。

5月27日(金) 熊本地震44日目

■地震回数 3日連続で1桁
熊本地震の発生から続いている最大震度1以下の地震の1日当たりの回数が次第に減少、23日から3日連続で1桁になったことが、気象庁の速報値で分かった。同庁は「依然、活発な活動が続いている、強めの余震に注意が必要」としている。10回を下回ったのは23日が初めて。23日は9回、24日は8回、25日は9回だった。
本震が起きた4月16日に最多の202回。その後、増減を繰り返しながら徐々に少なくなり、5月1日には36回、15日には15回。最大震度が小さくなる傾向もあり、震度5は4月29日、震度4は5月13日を最後に、それぞれ観測されていない。25日に観測されたのは震度1と2のみだった。

■熊本市・避難所 ようやく弁当に
熊本地震から1ヵ月以上たっても、熊本市の避難所ではパンやおにぎりなど地震直後と変わらないような食事が提供されてきた。26日の夕食からようやく一部を除いて弁当の配布が始まり、避難者からは歓迎の声が聞かれた。
24日午後7時現在、71の避難所に2448人が身を寄せる熊本市。食事については、これまで各避難所から前日上がってきた配送依頼に基づいて、おにぎりやパン、支援物資の中から缶詰やカップ麺、アルファ米などを届けてきた。
熊本市が26日の夕食に用意した弁当は2千食。弁当は必要な数を避難所ごとに調べ、民間の委託業者が配送する。管理栄養士の巡回も実施するという。

5月28日(土)熊本地震45日目

■多忙極める自治体職員「心が爆発寸前」
熊本地震の発生からおよそ1ヵ月半、被災地の自治体職員は今も復旧作業や住民への対応に追われている。
熊本市ではアンケートに回答した職員の1割以上に「うつ」などの疑いがあるとして、産業医との面談が必要な状態に。多忙を極め、心身をすり減らしている。
益城町の職員も業務に忙殺されている。町幹部は「クレームを直接受けるような部署では、心が爆発寸前になっている職員もいる。
何とかしなければいけないが・・・」と悩ましげ。26日には管理職対象のメンタルヘルス研修を実施した。

■鉄道再開 阿蘇に朗報 JR豊肥線一部 夏までに
熊本地震で不通となっているJR豊肥線の肥後大津-豊後荻のうち、阿蘇-豊後荻を夏までに再開する見通しを先にJR九州が示した。落ち込んでいた阿蘇観光への明るい兆しに、関係者は期待を寄せている。
豊肥線は、16日未明の本震による土砂崩落で国道57号線とともに寸断。県の集計では、11日までに阿蘇地域の宿泊・観光客のキャンセルは23万人にのぼった。
市観光協会は「書き入れ時の夏に、大分側から阿蘇まで列車が通るだけでもありがたい。利用可能な施設や営業中の店の情報を幅広く発信し、観光客を再び笑顔で迎えたい」と前を向く。

5月30日(月) 熊本地震47日目

■夏の参院選投・開票所 県内97ヵ所使えず
熊本地震の影響で、夏の参院選で使う予定だった県内45市町村の投・開票所1082ヵ所のうち、少なくとも19市町村97ヵ所以上の施設が使えない状態にあることが、熊本日日新聞の取材で分かった。施設の損壊のほか、周辺が地滑りを起こしていたり、避難所として使われていたりするためで、被災自治体は対応に苦慮している。
投票所は、予定していた28ヵ所の半数以上が使えなくなった益城町も含め、15市町村の計83ヵ所以上が使えない状態。益城町は投票所を町内12ヵ所に集約する予定で、「一部はプレハブの設置も検討する」としている。

■災害派遣きょう終了
蒲島郁夫知事は29日の臨時記者会見で、熊本地震に伴い災害派遣された自衛隊の撤収を30日に要請すると発表した。
人命救助など自衛隊が果たした役割に謝意を示し、「われわれができることを自助努力でやるべき時期がきた」と述べた。蒲島知事は4月14日の前震の発生直後、自衛隊に災害派遣を要請。この間、全国から陸海空の隊員延べ約77万5千人が計20市町村に投入され、ピーク時の4月23~28には一日2万5千人が活動した。

■益城町 日医チーム救護終了
熊本地震発生後、益城町の避難所で2ヵ所の救護所を開いていた、日本医師会災害医療チーム「JMAT」が29日、活動を終了した。巡回診療も終わり、今後の地域医療は町内の医療機関に引き継ぐ。
同町ではJMAT約200チーム約890人をはじめ日本赤十字社の救護班などが活動し、順次撤収している。JMAT、日赤ともに、県内での救護活動を6月2日までに終了する。

■仮設入居「半壊」も認められたが・・・
熊本地震で自宅が全壊、大規模半壊した人を対象とする仮設住宅について、国は自宅の解体を条件に「半壊」での入居を認め、県が市町村へ通達した。入居枠がひろがり、住まいを確保できない住民にとって選択肢は増えるが、「解体はハードルが高い」「解体して本当に仮設に入れるのか」といった不安も聞こえる。
災害救助法に基づく仮設住宅への入居は原則、「自宅が全壊した人」が対象。しかし県は長期化する余震を踏まえ、国に対して規制緩和を要望。大規模半壊とともに、①ライフラインの途絶や避難指示などで長期間自宅に居住できない人 ②「半壊」でも住み続けることが危険な傷みがあるなど家屋を取り壊さざるを得ない人、も認める特例を決めた。