熊本地震関連のニュースからピックアップ -2016年4月-

熊本地震関連ニュースピックアップは、熊本日日新聞の記事より抜粋しています。

4月15日(金) 熊本地震2日目

■熊本市で震度6弱 益城町で震度7
4月14日午後9時26分頃、熊本市で震度6弱、益城町で震度7となるなど熊本県を中心に西日本の広い範囲で強い揺れを観測。4月15日9時現在、今も震度4程度の余震が断続的に発生している。
気象庁によると、震度7の地震の震源地は熊本地方で、震源の深さは約11キロ、マグニチュードは推定6.5。国内で震度7を観測したのは東日本大震災の2011年3月11日以来、九州では初。

■熊本地震 被害甚大
気象庁は14日の記者会見で「今後1週間、震度6弱程度の余震が発生する恐れがある。断層との関係は不明」としている。
県警などによると、益城町では火災の発生、県内で家屋などの倒壊が19件。建物などへの閉じ込めが9件。下敷きは8件。閉じ込められている人の中には乳児も含まれいるという。県路の陥没や停電も相次いだほか、熊本城の石垣も壊滅した。
JR九州によると熊本市の熊本駅-熊本総合車両所間で、九州新幹線下り回送列車(6両編成)が本線上で脱線した。15日午前9時現在、九州新幹線、運転見合わせ。オレンジ鉄道、磨川鉄道運転見合わせ。九州縦貫道路はえびの-南関の間通行止め。

4月16日(土) 熊本地震3日目

■未明の地震
午前1時25分頃 熊本地方で震度6強の揺れが10分ほど続いた。その後しばらく10分間隔の余震を繰り返し、午前9時49分頃、震度6弱の地震。

■熊本地震 死者15人
死者15人 負傷者1500人以上。6万9000人以上が避難。38万5000棟が断水。震度3以上の余震66回。
阿蘇山も噴火(噴火警戒レベル2) 南阿蘇村一部孤立。(12:10現在)

4月18日(月) 熊本地震5日目

■余震 いまだ続く
最大震度7を14日夜に観測以降、強い揺れが続く「熊本地震」で警察、消防、自衛隊など、被災地で不明者の捜索を続行中。14日以降の死者は42人、避難者は県内855カ所で約18万3千人に上り、避難所では生活物資の不足が深刻化している。
気象庁によると14日から17日午後9時までに観測した震度1以上の地震は478回。17日も余震が続き、マグニチュード3.5以上の発生回数は2004年の新潟県中越地震を上回り、過去最多となった。
熊本県を中心とした地震の回数は、震度7-1回 6強-3回 6弱-3回 5強-1回 5弱-6回 4-65回 1~3-399回 計478回 (17日午後9時現在) 

■被害状況
県災害対策本部によると、死者42人 負傷者は1039人 重傷者201人 避難者 約11万人(うち熊本市5万人)現在、JR九州新幹線、熊本空港(ビル閉鎖)県内バスも運休。

■ライフライン状況
熊本県 停電3万3千900世帯 断水37万3千世帯 ガス供給停止10万5千世帯 被災者宅に空き巣多発(NHK4月18日朝のニュースから)

4月19日(火) 熊本地震6日目

■死者44人に
18日午後8時41分ごろ、阿蘇市と産山村で震度5強、南阿蘇村などで震度5弱の余震を観測。震源は阿蘇地方で深さは約10キロ(M5.8)と推定される。

■県災害対策本部による被害状況
14日以降の死者は44人。18日午後1時半現在の避難者は632ヶ所で約9万3千人、負傷者は1055人でうち重傷者は204人、全壊した家屋は952棟。

■車中泊の女性死亡
地震の発生後、血の塊(血栓)が肺に詰まる「エコノミークラス症候群」で、車中泊していた熊本市の50代女性が死亡したことが18日わかった。同症候群で死亡したのは初めて。このほか少なくとも16人が同市内の5医療機関に救急搬送されている。

■被災地で空き巣続発
避難者宅を狙う空き巣被害が相次いでいる。14日夜から18日朝までに、20件の通報のうち7件の被害額は計約80万円。熊本市4件、大津町2件、益城町1件、大半が急な避難のため無施錠だった。県警は警戒を強化し、現金や貴重品の管理徹底を呼び掛けている。

■オスプレイが貨物輸送を開始
政府の被災者支援チームは益城町、南阿蘇村などに職員を派遣し、米軍の新型空輸機オスプレイMV22が貨物輸送を始めた。

■ライフラインの復旧状況
ライフラインの復旧は進んでいるが、熊本市などで停電、断水が続いた。停電23万5千戸、断水は少なくとも6万5千世帯、都市ガスの配給停止は約10万5千戸(西部ガス)

■トヨタ全国で生産停止、県内関連工場部品供給できず
半導体関連ではスマートフォンなどのカメラに使われる画像センサーを生産するソニーの工場(菊陽町)や自動車向けを生産するルネサスエレクトロニクス川尻工場(熊本市)、三菱電機工場(合志市)がいずれも生産中止、ほかに東京エレクトロン九州(合志市)、ホンダ熊本製作所(大津町)、サントリー九州熊本工場(嘉島町)、ブリヂストン熊本工場(玉名市)、富士フィルム九州(菊陽町)、スクリーン熊本(益城町)、ヤマックス(熊本市)、東海カーボン田ノ浦工場(芦北町)、メルコ・ディスプレイ・テクノロジー(菊池市)など再開のめどはたっていない。

■4日ぶり熊本空港着便
19日、午前7時41分第一便の羽田空港発、全日空機が熊本空港に到着した。 地震から4日ぶり、今日18便が熊本空港に着く。熊本空港発の便については空港ビルの閉鎖により未定。

■九州新幹線 復旧作業中
熊本県内の柱のひびなど130ヶ所に及び現在のところ復旧のメドがたっていない。

4月20日(水) 熊本地震7日目

■南阿蘇さらに3遺体
南阿蘇村の土砂崩れ現場で、自衛隊と警察。消防は19日、行方不明者の捜索を続け、男女3人を救助したが、死亡が確認された。14日以降の地震による死者は計47人。

■八代市で震度5強の地震発生
強い余震の範囲はさらに拡大。14日夜以降の震度1以上が600回を超えるなか、県内の約9万5千人が避難所で生活を強いられている。

■JR九州新幹線 一部運転再開
新水俣-鹿児島中央間の運転を20日の始発から運転再開。博多-新水俣間は、熊本市で脱線車両の撤去作業が続いており、復旧のめどはたっていない。

■JR在来線
JR豊肥線 熊本-肥後大津間運転再開。JR鹿兒島線 熊本-荒尾間運転再開。熊本、博多間が在来線で開通。

■熊本市電全線再開
熊本市交通局は、地震の影響で運休していた市電の運行を20日の始発から全線で再開する。安全確保のため徐行運転を行うことから、時刻表通りの運行は難しいという。

4月21日(木) 熊本地震8日目

■熊本地震1週間
避難者なお9万人強 死者48人 関連死11人。
熊本地震は14日午後9時26分ごろ益城町で最大震度7を観測した前震で始まった。20日までに震度1以上は700回を超えた。このうち、震度6弱以上が6回、16日未明、益城町、西原村で再び震度7を観測した本震が発生し、被害は拡大した。
犠牲者が最も多かったのは家屋1026棟が全壊した益城町で20人、大規模な土砂崩れが起きた南阿蘇村では14人が亡くなった。陸上自衛隊などはいまだ連絡がとれない2人の行方不明者の捜索を続けている。震災関連死では、阿蘇市で避難所のトイレで倒れた女性が死亡したほか、熊本市で車中泊した女性がエコノミークラス症候群亡くなるなどのケースがあった。

4月22日(金) 熊本地震9日目

■二次災害恐れ「再避難」29万人に指示・勧告も
熊本地震によって大きく地盤が緩んだ県内は21日、地震発生後初の強い雨に見舞われ、一時、阿蘇市や益城町などで計11万7287世帯、29万4446人に避難指示や勧告が出された。
依然、2人が行方不明となっている南阿蘇村では、捜索活動が中断。同村や熊本市では住民の避難所が危険となり、別の避難所への「再避難」を強いられた。

■ボランティア本格化
益城町社会福祉協議会は同町安永の井関熊本製造所グラウンドにボランティアセンターを開設。午前9時の受け付け開始前に県内外の約100人が列をつくった。
南阿蘇社協は、20日に同村久石の久木野総合福祉センターにボランティアセンターを設置。21日は初日を上回る約60人が、支援物資の仕分けや配布などに汗を流した。
合志市社協は、市民と市内に勤める人を対象に、一人暮らしの高齢者や障害者らの生活復旧を手助けする「要援護者支援ボランティア」の募集を始めた。県社協も「県災害ボランティアセンター」を設け、市町村社協の活動情報を提供している。
一方、家屋倒壊などで5人の死者を出した西原村は「まだ受け入れる余裕はないが、数日中には呼び掛けを始めたい」としている。

■九州新幹線 試験走行へ 
JR九州は21日、14日夜から運転を見合わせていた九州新幹線の博多~熊本間について、復旧工事が順調に進めば23日にも試験走行できるとの見通しを明らかにした。同日中の営業運転再開につながる可能性がある。

■鹿児島線熊本-八代間の運行再開
鹿児島線は1週間ぶりに全線復旧し、福岡から鹿児島まで鉄道で行き来できるようになった。熊本―八代間は一部区域を徐行しながら、約1時間かけて運行。22日も本数を減らして運行する。

■熊本-福岡 高速バスも再開
熊本―福岡間を結ぶ高速バス「ひのくに号」が21日、運行を再開した。
バスは九州産交バスと西日本鉄道の共同運行。当面は熊本発、福岡発ともに1時間に1本ずつ計14往復する。九州自動車道の植木インターチェンジ以南は一般道を通る。片道の乗車時間は通常の2倍近い5時間を見込んだが、初日は最短で約3時間だった。
また同社は22日から、熊本―宮崎間の高速バス「なんぷう」も再開する。1日に通常14往復を6往復に減便し、八代インターチェンジ以南の九州自動車道を通る。

■不安あおるデマ情報 冷静に対応を
熊本地震の発生直後から短文投稿サイト「ツイッター」などのインターネット上で、不安をあおるデマ情報が飛び交っている。県警は21日までにこうしたネット情報約40件の相談や通報を受け、パニックに陥らないよう注意を呼び掛けている。
県警によると、地震直後から「熊本動植物園のライオンが逃げた」「大型商業施設が燃えている」「川内原子力発電所が爆発した」といった捏造情報が広がった。
「消防団になりすまして強盗をしている」「女性への乱暴が相次いでいる」などの犯罪情報の書き込みもあるが、県警は具体的な被害を確認しておらず、デマ情報とみている。
震災義援金を福岡県の会社名義の口座に振り込ませようとする例もあった。
県警サイバー犯罪対策課は「不確かな情報をうのみにせず、報道や行政からの情報で確認し、冷静に対応してほしい」としている。

4月23日(土) 熊本地震10日目

■損壊家屋1万棟超 ボランティア活動加速
熊本地震で被災した県内の家屋が1万超を超えることが22日、県のまとめで分かった。
14日、16日に震度7を観測した益城町が5400棟を占めるが、被災家屋の調査が進んでいない市町村も多く、被害はさらに広がる見通しだ。

■県全体の被害は1万2000棟
県災害対策本部によると、県内の家屋被害は全壊1527棟、半壊1410棟、一部損壊2442棟など。
土砂崩れが相次いだ南阿蘇村、阿蘇市などは「多数」「調査中」と回答しており、同本部は損壊の程度を分類できていない家屋を含め、県全体の被害は1万2000棟程度に上ると見ている。
益城町のほかに被害が大きいのは、西原村が全半壊計約1400棟、南阿蘇村は計400~500棟。

■不明者捜索を再開
行方不明者がいる南阿蘇村の高野台団地では、21日の雨で捜索を見送っていた自衛隊、警察、消防が22日、24時間態勢の捜索を再開した。 

■震度1以上800回超す
気象庁によると、14日夜の震度7から22日午後までに、震度1以上は800回を超えた。
県内は低気圧から延びた前線の影響で、23日夕から24日にかけて雨の見込みで、土砂災害に警戒が必要という。

■数十カ所で液状化
熊本地震に伴う地盤の液状化を、東京電機大学の安田進教授のチームが少なくとも数十カ所で確認したと発表した。熊本市の川沿いなどを現地調査した結果、地盤が地下水とともに揺すられて流動化し、家屋や電柱などが傾いたり道路に砂が噴き上げたりする被害を確かめた。

■堤防138カ所に損傷 亀裂など「危険な状態」
九州地方整備局は22日までに、熊本地震で白川や緑川など、県内の主要河川の堤防138カ所で亀裂などの被害がでていると発表した。専門家は「堤防決壊ににつながりかねない危険な状態」と分析。

■福祉避難所 利用70人止まり -熊本市 介護職、食料など不足-
手厚い介護や支援を提供する「福祉避難所」に身を寄せる人々が70人にとどまることが22日、わかった。福祉避難所側の人手や物資が不足していることなどが要因という。
避難時に介護や支援が必要な高齢者や障害者といった「要支援者」は市内に約3万4千人。
介護を必要としながら一般の避難所の生活を余儀なくされている人は相当数に上っているとみられ、災害弱者への対応が十分でない実態が浮き彫りになった。
熊本市は、災害発生時に高齢者らへ手厚い支援を提供するための福祉避難所を設けられるよう、約1700人の受け入れを想定し、民間の高齢者福祉施設など計176施設と協定を結んでいた。
ただ、共同通信の市への取材では、地震発生から8日目の22日午後1時現在、福祉避難所として市民が利用できるのは33施設で、入所者数は70人だった。市は利用者数が少ないことについて、介護士や水、食料などが不足していることを挙げている。
益城町では、福祉避難所に要支援者120人を受け入れる計画があったが、一般の避難者が殺到して現場が混乱したため断念。現在も、開設の見通しは立たないという。

4月25日(月) 熊本地震12日目

■被災者の住宅確保急ぐ 県内公営住宅420戸入居可能
熊本地震で自宅が全半壊した被災者を数ヵ月単位で受け入れ可能な公営住宅が24日現在、県内で約420戸あることが県などへの取材で分かった。九州・山口を合わせた8県では約3100戸となる。ただ、全半壊した住宅は確認されただけでも3200棟を超え、遠隔地への避難が難しい被災者も多いとみられる。県は民間住宅の借り上げを含め、被災者の住まい確保を急ぐ。
県災害対策本部によると、同日現在、県内の住宅被害は全壊1675棟、半壊1553棟。被害の程度が確認できていない住宅もあり、さらに増える見込みだ。避難所に避難している36市町村で約6万人に上る。
被災者向け公営住宅は原則、家賃は無料で光熱費や水道代などは被災者が負担する。入居期間は最長1年以内の自治体が大半で、申し込みには市町村が発行する罹災証明書が必要。発行が間に合わない場合でも、自宅の写真添付などで対応するという。

■熊本市 民間含め1750戸
熊本市は24日、被災した市民に市営住宅と民間賃貸住宅合わせて約1750戸を無償で提供すると明らかにした。これだけでは足りないとみており、さらに仮設住宅建設のための用地選定も始めた。
自宅が半壊した人が入居可能だか、一部損壊でも「住宅に困窮している場合は対象にする」としている。市は市営住宅約250戸を確保し、5月2日まで市役所で入居申し込みを受け付けている。5月3~5日に抽選し、6日から入居が始まる。

■JR九州 熊本-新水俣間の脱線車両撤去完了
同区間で見つかっている架橋のひび割れなど約130カ所の損傷の修復作業が順調に進めは、大型連休前の28日にも全線復旧する見通し。
九州新幹線は20日に新水俣-鹿児島中央間、23日に博多-熊本間の運行を再開し、残る熊本-新水俣間のみ不通となっている。

4月26日(火) 熊本地震13日目

■臨時休校 なお315校 授業の遅れ懸念
熊本地震で大きな被害が出た益城町など複数の市町村で、小中高校や特別支援学校の臨時休校が続いている。
25日は全小中学校が休校する熊本市で北区植木町の田底小が11日ぶりに再開したが、26日は公私立合わせて315校が休校を継続。具体的な再開時期を見通せず、授業の遅れや学校行事への影響など課題は山積みだ。
県教委と熊本市教委によると、県内の公立校で26日に休校するのは ▽小学校174校 ▽中学校78校 ▽高校(全日制 定時制)29校 ▽特別支援学校12校の計293校。このうち213校は28日までの休校を決定済み。大津、南阿蘇、西原、甲佐の4町村は5月6日まで、全小中学校を休校にする予定。
県私学振興課によると、県内の私立中・高校(全日制)は26日、計22校が休校する。
公私立とも校舎や体育館などの施設を破損した学校が多数。避難所として被災住民を受け入れているケースも少なくなく、状況が好転しない限り、再開のめどが立たない学校もある。
25日には大津町の大津高と翔陽校が再開したが、国道や鉄道が寸断された阿蘇地域の生徒が通学できず、学校再開に向けては安全な通学路の確保も課題となっている。

■南阿蘇村で1遺体発見 死者49人 宇土市の男性関連死
熊本地震による行方不明者を捜索している警察、消防、自衛隊が25日午後4時ごろ、南阿蘇村河陽の高野台団地の土砂崩れ現場で、福岡県久留米市、早川海南男さん(71)を心肺停止の状態で発見、死亡が確認された。
熊本地震による死者は計49人、行方不明者は1人となった。同村立野の阿蘇大橋付近では、車ごと土砂に巻き込まれた可能性がある阿蘇市の大学生、大和 晃さん(22)の捜索を続けているが、大量の土砂で二次災害の危険があるため、自衛隊による捜索を見合わせている。

■九州新幹線 あす全線復旧へ
熊本地震の影響で運転を見合わせている九州新幹線 熊本-新水俣が、27日午後にも復旧する見通しとなったことが、25日わかった。博多-鹿児島中央の全線で運転が再開され、九州の南北を結ぶ交通の大動脈が回復する。

4月27日(水) 熊本地震14日目

■学校134棟「危険」判定
熊本市は26日までに、市立の幼稚園や小・中・高校など全学校施設163カ所・1267棟の「応急危険度判定」結果を公表した。校舎や体育館など134棟が「危険」判定。臨時休校中の学校の多くは5月10日の再開を目指すが、一部で授業や給食・部活動などが遅れる恐れも出ている。
19日から5日間、専門知識を持つ判定士が目視で危険性を判定。使用禁止や落下物の除去が必要な「危険」が134棟、使用中の注意を促す「要注意」が354棟、安全に利用できる[調査済」は779棟だった。

■熊本市 被災後の小中学生 市外に転校252人
熊本地震の発生を受け、熊本市から市外の小中学校へ転校した児童・生徒が少なくとも252人(小学生226人、中学生26人)に上ることが26日分かった。このうち、住民票とともに学籍を移したのは48人(小学生43人、中学生5人)。そのほか182人(小学生162人、中学生20人)は「体験入学」として、熊本市内の小中学校に籍を残したまま市外の学校に通っているという。残り22人(小学生21人、中学生1人)はどちらか不明。
市教委は震災に対応し、児童・生徒が校区外に転居しても、転校しなくてよい期間の特例を認めている。市内での転居は卒業するまで、市外は2016年度末まで。

■地震920回超「活動活発」
気象庁によると、熊本、大分両県では26日、午後10時までに震度1以上の地震が28回起きた。14日震度7以降、総回数は925回に上る。うち5以上は17回、4は77回。
気象庁は「活発な活動が続いている」との見解を維持。今後の推移については「(パターンが)似ている地震が過去になく慎重に判断する必要がある」と述べ、引き続き警戒を求めた。

4月28日(木) 熊本地震15日目

■被災家屋2万7千棟 熊本市1万件超届け
熊本市は27日、熊本地震の前震翌日の15日以降に受け付けた罹災証明の申請が、全壊と半壊合わせて1万1240件(27日午後3時集計)に上ったことを明らかにした。
市はこれまで、確認した全半壊戸数を93棟としていたが、申請件数を基にすると大幅に増加する可能性がある。市の報告を受け、県災害対策本部は27日、県内の一部損壊を含む被災家屋が約2万7千棟に上ると発表した。
28日で発生から2週間を迎えるが、27日午後現在の避難者は492カ所、計3万7千に上る。一連の地震の死者は49人。南阿蘇村では依然1人と連絡がとれていない。震災関連死の疑いは新たに熊本市の2人が増え、16人に達した。エコノミークラス症候群の入院患者数は3人増え、40人になった。

■地震1000回に迫る。「活発な状態続く」
14日夜に発生した熊本地震で、震度1以上の地震は27日午後8時現在で964回に達した。マグニチュード(M)3.5以上は215回と、1995年以降、過去最多ペースで推移している。
気象庁の速報値によると、震度7は14日夜と16日未明の2回。震度6は5回、震度5は10回、震度4は77回に上る。16日に最多の202回を記録して以降、27日は37回(午後8時現在)と減少傾向にあるが、気象庁は「依然として活発な状態」との見解を示している。
最後に震度5強を記録した19日までに、全体の7割近い652回を観測した。25日は1日24回まで減ったが、26日は30回、27日は37回と微増。終息について、気象庁は「静かな時期と活発な時期を繰り返しており、見通せない」としている。

■九州新幹線 全線復旧 復興後押し高まる期待
JR九州は25日、運転を見合わせていた九州新幹線の熊本-新水俣の運転を再開し、14日夜の熊本地震の前震で運休して以来、13日ぶりに全線を復旧させた。九州を縦断する博多-鹿児島中央の256㌔がつながり、被災地復興への後押しに期待が高まった。

4月29日(金) 熊本地震16日目

■震度1以上 千回超 過去最多ペース
熊本地震は28日、14日夜の前震から始まった震度1以上の地震が熊本、大分両県で千回を突破した。1995年の阪神大震災以降に起きた内陸や沿岸部を震源とする地震と比べると、2週間で千回に達するのは過去最多のペースという。
県内では強い地震も続いており、28日には午後7時までに震度4を宇城市で2回、熊本市西区で1回観測した。気象庁によると、14日夜から28日午後7時までに震度1以上の地震は1019回に上った。
2004年の新潟県中越地震では千回を超えたのは約1年後で、熊本地震は余震の多さが際立ったている。

■南阿蘇村 大学生 依然行方不明
警察、消防、自衛隊は、南阿蘇村の阿蘇大橋周辺で行方不明になっている大学生、大和晃(ひかる)さん(22)の捜索を続けたが、発見出来なかった。

■植木インターチェンジ-嘉島ジャンクション開通
石井啓一国土交通相は28日の会見で、通行止めになっていた九州自動車道植木インターチェンジ-嘉島ジャンクション間が29日に全線復旧する見通しになったと表明。「九州の南北を連絡する大動脈が回復する」と述べた。

■被災者向け 熊本市営住宅 倍率11倍
熊本市が被災者に確保した市営住宅約250戸の入居申し込みが28日までに2802件となり、倍率が10倍を超えた。申込期限は5月2日までで、申込者はさらに増えるとみられる。自宅に住めない被災者に対し、住宅の供給が間に合っていないのが現状。
市は23日に市役所で受け付けを始めた。入居者は5月3~5日に抽選で選ばれるが、先着順と考えた被災者らで初日は長蛇の列ができた。対象は住宅が全半壊したか、一部損壊でも住宅に困窮している被災者。6日から順次入居できる。
市の避難者数は28日現在で約1万人。市は市営市住宅だけでは到底足りないとみており、民間賃貸住宅を借り上げるほか、仮設住宅の建設用地の選定を進めている。

■罹災証明「早く発行を」 調査待ち 家屋手付けられず
地震によって建物が被害を受けた証しとなる「罹災証明」の発行が進んでいない。
2万件を超える申請がある熊本市では、現地調査待ちで被災家屋に手がつけられない被災者も多く、市民には困惑が広がっている。

■熊本市 避難所 段階的に集約
熊本市は28日、約1万1千人が身を寄せている小中学校など208カ所の避難所を段階的に集約する方針を明らかにした。5月10日の学校再開と避難生活の質の向上を目指したい考えだが、自宅から遠くなるケースも想定され、避難住民に戸惑いが広がりそうだ。
市によると、一部の小中学校では教室が避難所になっている。避難者数は毎日数千人単位で減少し、数人の避難所もあるという。集約化によって授業再開時の教室を確保するほか、環境の整った別の避難所に移ってもらう。集約する施設や箇所数は未定。
市役所1階ロビーには28日現在、120人が避難。床が硬く、罹災証明書の申請者らか行き交うため、環境が良いとは言い難く、先行して中央区黒髪の市勤労者福祉センター(サンライフ熊本)などに移ってもらうという。
大西一史市長は同日の会見で「早く学校を再開するのは重要。環境の良くない避難所もあり、各避難所の状況に応じて(集約を)進めたい」と述べた。

4月30日(土) 熊本地震17日目

■九州道 全線復旧 一部は片側1車線
熊本地震の影響で通行止めになっていた九州自動車道は29日、15日ぶりに全線復旧した。大型連休初日に交通の大動脈が回復し、被災地の復興支援に弾みがつきそうだ。
復旧したのは植木インターチェンジ(IC)-嘉島ジャンクション(JCT)の23㌔。路面の崩落などで工事が続く益城熊本空港IC-嘉島(4.3㌔)の大半は片側1車線の対路面通行で、最高速度を40㌔に規制しており、渋滞が発生した。総重量が36㌧を超える車両は通行できない。
このほか、植木-熊本ICと松橋IC-八代は80㌔、熊本-益城熊本空港と嘉島-松橋は50㌔にそれぞれ速度規制する。規制解除を含めた完全復旧の見通しは立っていない。

■氷川町 17人目の関連死
県災害対策本部は、宇城市の病院駐車場などで16日から家族3人で避難、車中泊していた氷川町の女性(73)が急性心不全で20日亡くなったとして、災害関連死に計上した。熊本地震では17人目。

■地震から2週間
県内の避難者は29日午後1時半現在、444カ所に約3万人。ライフラインのうち、西部ガスは30日に復旧をを完了する見通し。南阿蘇村の阿蘇大橋周辺では行方不明者の捜索が続いた。